欧州ローカル列車のブログ

欧州ローカル列車の旅 のブログ編です。 ヨーロッパ各地を鉄道で旅行した時の様子を、1枚の写真と簡単な解説とでご紹介しています。

コシチェ Kosice (スロヴァキア)

スロヴァキア東部にあり、同国第二の都市であるコシチェ。その中央駅にあたる、コシチェ駅です。それなりに広さはありますが、開放的なホームが並び、長閑な雰囲気が漂っています。駅は市街地とは少し離れていて、周囲に高い建物もありません。駅前はトラムの折り返し発着場となっており、市街地や市内各地とを結んでいます。

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スロヴァキアの東の中枢であるターミナル駅ですが、西の中枢ブラティスラバに国際列車が頻繁に発着するのと比べると、こちらはローカル列車の割合が多く、例えばハンガリー国境までは1時間もかからないのに、国境を越える列車は1日2往復しかありません。

(撮影:2014年06月)

カゲラップ Kagerup (デンマーク)

カゲラップは、同名の町を代表する駅ですが、駅と町が離れており、駅は寂しい森の中にあります。しかし歴史は古く、1880年の開業で、1897年にはここから分岐するもう1つの路線も開業しました。以来、線路が分岐しているため、かつてはここで分割併合も行われていたそうです。そんな重要な駅も、今は利用者も僅かで、かつての駅舎は個人の住居になっています。

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日本の第三セクターに近いのでしょうか。デンマーク国鉄とは別のオペレーターによるこの地域限定の運行で、こういった新車の軽快気動車が導入されていました。2路線が利用できるため、運転本数は結構多くて、ちょっと待っていると列車が来ますが、乗降客は少なく、乗降客ゼロも珍しくありません。この地方の中心ヒレレズ(Hillerod)から来た列車がここで左右いずれかに分かれて先へと進んで行きます。

(撮影:2013年11月)

バート・シャンダウ Bad Schandau (ドイツ)

ドイツ東部、チェコの国境に近いエルベ川沿いの温泉町、バート・シャンダウ駅です。ベルリン(Berlin)からドレスデン(Dresden)を経てチェコのプラハ(Praha)へ向かう国際列車が、ドイツ側で最後に停車する国境駅です。かつては出入国審査で長時間停車をしたのでしょうか。その名残りか、小駅の割に停車時間が長い感じがしました。

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この時は全然知らずに通り過ぎたのですが、この駅から国立公園の中に分け入っていく、7キロほどのトラム路線が出ているそうです。主には観光用だそうですが、古典的な2輌編成が、渓谷に沿ってのんびり走っているらしく、知る人ぞ知る存在みたいです。機会を見つけて是非訪れてみたいものです。

(撮影:2014年11月)

グレンフィナン Glenfinnan (イギリス)

スコットランド西部、ウェスト・ハイランド線の終点に近い内陸部の、有名な橋梁のあるグレンフィナン駅です。夏は観光客で賑わうのでしょうが、1月の朝とあっては、人の気配もなく、雪景色の中、ひっそり閑としています。しかし何と、ホームに併設している小さなレールウェイ・ミュージアムは開いていました。

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列車本数は1日4往復。朝2本目の10時58分発グラスゴー行きの到着です。2輌編成ですが、車内はガラガラで、ここでの乗降客は誰もいませんでした。日の短い冬の北国の1月ゆえ、朝11時なのに、早朝のような雰囲気です。

(撮影:2015年1月)

ブダペスト・デリ Budapest Déli (ハンガリー)

ハンガリーの首都ブダペストには、東駅、西駅、南駅の3つのターミナルがあり、北駅だけがありません。その中でも規模が一番小さいのがここ南駅です。ハンガリーはまだまだ客車列車の割合が高く、一番大きな東駅は、さながら数十年前の上野駅みたいですが、それに引き換えここ南駅は発着する列車も単距離列車が多く、大きな荷物を持った人が大勢集まるターミナル駅の雰囲気ではありません。駅構内は古びてうらぶれた感じが漂っていて、それが首都らしからぬローカル・ターミナルらしさを演出しています。

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屋根も無い開放的な行き止まりホームに、電気機関車に牽かれた客車列車が重々しく到着しました。昔ながらのローカル鈍行の味わい深い光景ですが、首都のターミナルですから、都会的な装いの身軽な現代人が大勢降りてきました。日本ではこんな光景が見られなくなって久しいので、それが何ともミスマッチな印象すら与えます。

(撮影:2014年6月)

ジェチーン Decin (チェコ)

ジェチーンは、ベルリンとプラハを結ぶ幹線鉄道上にあるチェコの駅で、ドイツ国境に近いです。ドイツからの国際列車が最初に停車するチェコの駅で、それゆえ、鉄道の要衝として栄えてきました。ただ、チェコがシェンゲン協定に加盟してから、出入国審査機能がなくなったため、以前に比べれば機能低下もしているようです。

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この列車はジェチーンの本駅から分岐する支線の、2輌の気動車列車です。この地方で良く見かける車輌です。本駅を出ると、ラベ川を渡り、左岸へ渡ります。その先に次の駅があるのですが、ジェチーンの一番賑やかな市街地の近くには駅がありません。ジェチーンの本駅は、それよりやや静かな右岸の側にあり、市街地とは結構離れていますが、本駅周辺もまた小さな商業の集積がある繁華街になっています。この写真に写っている橋が、ラベ川を渡る橋の、本駅側になります。紅葉がピークの晩秋の秋晴れの朝でした。

(撮影:2014年11月)

モナコ・モンテ・カルロ Monaco Monte Carlo (モナコ)

ヴァチカンに次いで世界で二番目に面積の小さなミニ国家、モナコ。その国内唯一の鉄道駅が、ここ、モナコ・モンテ・カルロ駅です。かつて地上駅と地上路線だった頃は、モナコ駅とモンテ・カルロ駅は別に存在したそうです。駅は急峻な地形と高い人口密度を反映してか、路線ごと地下化された際に移設された半地下の構造で、内装はなかなか豪華にできています。モナコはフランスと地中海に囲まれた国家で、鉄道は両隣の駅ともフランスであり、運行しているのもフランス国鉄SNCFです。シェンゲン協定などが無いころから、出入国審査などはなく、通貨もユーロ以前からフランスと共通で、鉄道で旅行しても、ここで国境を越えているなどという意識は全く感じません。世界に鉄道のない国はいくつもありますが、鉄道の駅が1つしかない国は、モナコだけではないでしょうか。

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列車の方は、近郊列車が案外頻繁にやってきます。シャンデリアかと思うようなライトが輝くこのおしゃれな地下駅には、やはり新型電車がお似合いですが、そこに数は少なくなったとはいえ、たまに機関車牽引の古い客車列車も入ってきます。残念ながらその写真は撮れませんでしたが、なくなる前に撮っておきたい気がします。

(撮影:2014年5月)

ヒルフェルスム Hilversum (オランダ)

アムステルダム中央駅(Amsterdam Centraal)から29キロのヒルフェルスムは、鉄道の要衝の一つです。街としても栄えていて、アムステルダムへのベッドタウンだけでなく、企業もそれなりにあって、通勤目的地としての機能も強い街です。鉄道の要衝といっても、このあたりは結構多くの路線が縦横に入り乱れている上、必ずしもアムステルダムから放射状に出ている路線ばかりが栄えているわけでもないので、同じ程度の鉄道の要衝と言えそうな駅が結構点在していて、複雑です。

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アムステルダム発ベルリン行き長距離IC客車列車の到着です。機関車はオランダ国鉄の黄色で、後ろの客車はドイツ国鉄の白と赤です。アムステルダムを出て最初の停車駅がここで、この後もオランダ国内の駅に結構こまめに停車してから国境を越えてドイツに向かいます。アムステルダムから、この列車のオランダ最後の停車駅、ヘンゲロー(Hengelo)までの直通列車は7往復のドイツ直通IC特急だけです。それ以外のオランダ国内の区間列車は 全て途中で乗り換えが必要です。そのため、この列車はオランダ内だけの客にも便利な列車なので、長距離国際旅客よりはアムステルダムからオランダ国内各駅までのローカル利用者がずっと多く、国境を越える乗客は少なかったです。ICは、言うまでもなくインターシティーで、昔は最速列車だったかもしれませんが、今やローカル長距離急行の風情で、なかなかのんびりした旅が楽しめます。

(撮影:2014年1月)