欧州ローカル列車のブログ

欧州ローカル列車の旅 のブログ編です。 ヨーロッパ各地を鉄道で旅行した時の様子を、1枚の写真と簡単な解説とでご紹介しています。

ブダペスト・デリ Budapest Déli (ハンガリー)

ハンガリーの首都ブダペストには、東駅、西駅、南駅の3つのターミナルがあり、北駅だけがありません。その中でも規模が一番小さいのがここ南駅です。ハンガリーはまだまだ客車列車の割合が高く、一番大きな東駅は、さながら数十年前の上野駅みたいですが、それに引き換えここ南駅は発着する列車も単距離列車が多く、大きな荷物を持った人が大勢集まるターミナル駅の雰囲気ではありません。駅構内は古びてうらぶれた感じが漂っていて、それが首都らしからぬローカル・ターミナルらしさを演出しています。

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屋根も無い開放的な行き止まりホームに、電気機関車に牽かれた客車列車が重々しく到着しました。昔ながらのローカル鈍行の味わい深い光景ですが、首都のターミナルですから、都会的な装いの身軽な現代人が大勢降りてきました。日本ではこんな光景が見られなくなって久しいので、それが何ともミスマッチな印象すら与えます。

(撮影:2014年6月)

ジェチーン Decin (チェコ)

ジェチーンは、ベルリンとプラハを結ぶ幹線鉄道上にあるチェコの駅で、ドイツ国境に近いです。ドイツからの国際列車が最初に停車するチェコの駅で、それゆえ、鉄道の要衝として栄えてきました。ただ、チェコがシェンゲン協定に加盟してから、出入国審査機能がなくなったため、以前に比べれば機能低下もしているようです。

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この列車はジェチーンの本駅から分岐する支線の、2輌の気動車列車です。この地方で良く見かける車輌です。本駅を出ると、ラベ川を渡り、左岸へ渡ります。その先に次の駅があるのですが、ジェチーンの一番賑やかな市街地の近くには駅がありません。ジェチーンの本駅は、それよりやや静かな右岸の側にあり、市街地とは結構離れていますが、本駅周辺もまた小さな商業の集積がある繁華街になっています。この写真に写っている橋が、ラベ川を渡る橋の、本駅側になります。紅葉がピークの晩秋の秋晴れの朝でした。

(撮影:2014年11月)

モナコ・モンテ・カルロ Monaco Monte Carlo (モナコ)

ヴァチカンに次いで世界で二番目に面積の小さなミニ国家、モナコ。その国内唯一の鉄道駅が、ここ、モナコ・モンテ・カルロ駅です。かつて地上駅と地上路線だった頃は、モナコ駅とモンテ・カルロ駅は別に存在したそうです。駅は急峻な地形と高い人口密度を反映してか、路線ごと地下化された際に移設された半地下の構造で、内装はなかなか豪華にできています。モナコはフランスと地中海に囲まれた国家で、鉄道は両隣の駅ともフランスであり、運行しているのもフランス国鉄SNCFです。シェンゲン協定などが無いころから、出入国審査などはなく、通貨もユーロ以前からフランスと共通で、鉄道で旅行しても、ここで国境を越えているなどという意識は全く感じません。世界に鉄道のない国はいくつもありますが、鉄道の駅が1つしかない国は、モナコだけではないでしょうか。

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列車の方は、近郊列車が案外頻繁にやってきます。シャンデリアかと思うようなライトが輝くこのおしゃれな地下駅には、やはり新型電車がお似合いですが、そこに数は少なくなったとはいえ、たまに機関車牽引の古い客車列車も入ってきます。残念ながらその写真は撮れませんでしたが、なくなる前に撮っておきたい気がします。

(撮影:2014年5月)

ヒルフェルスム Hilversum (オランダ)

アムステルダム中央駅(Amsterdam Centraal)から29キロのヒルフェルスムは、鉄道の要衝の一つです。街としても栄えていて、アムステルダムへのベッドタウンだけでなく、企業もそれなりにあって、通勤目的地としての機能も強い街です。鉄道の要衝といっても、このあたりは結構多くの路線が縦横に入り乱れている上、必ずしもアムステルダムから放射状に出ている路線ばかりが栄えているわけでもないので、同じ程度の鉄道の要衝と言えそうな駅が結構点在していて、複雑です。

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アムステルダム発ベルリン行き長距離IC客車列車の到着です。機関車はオランダ国鉄の黄色で、後ろの客車はドイツ国鉄の白と赤です。アムステルダムを出て最初の停車駅がここで、この後もオランダ国内の駅に結構こまめに停車してから国境を越えてドイツに向かいます。アムステルダムから、この列車のオランダ最後の停車駅、ヘンゲロー(Hengelo)までの直通列車は7往復のドイツ直通IC特急だけです。それ以外のオランダ国内の区間列車は 全て途中で乗り換えが必要です。そのため、この列車はオランダ内だけの客にも便利な列車なので、長距離国際旅客よりはアムステルダムからオランダ国内各駅までのローカル利用者がずっと多く、国境を越える乗客は少なかったです。ICは、言うまでもなくインターシティーで、昔は最速列車だったかもしれませんが、今やローカル長距離急行の風情で、なかなかのんびりした旅が楽しめます。

(撮影:2014年1月)

クネオ Cuneo (イタリア)

イタリア北西部のピエモンテ地方にあるクネオは、標高500メートルを超える高原都市で、人口は5万余りです。周囲を高い山に囲まれており、爽やかな印象の街でした。すっかり暖かくなった5月の晴天の日でしたが、山々にはまだ残雪がたっぷり残っています。

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この写真の列車は、イタリア国鉄トレニタリアの、3輌1ユニットの気動車で、2ユニット6輌編成を組んで、ヴェンティミリア(Ventimiglia)から到着した所です。ここが終着で、しばらく停泊した後、折り返しヴェンティミリア行きとなります。最近列車本数が大きく削減されてしまい、今この全区間を走る列車は1日2往復しかありません。途中は険しい山越え路線で、素晴らしい景色なのですが、利用者は少なく、いずれ廃止されるのではと心配です。そんなローカル線の割には長い、6輌という編成で運転されていました。

(撮影:2014年5月)

ラサルテ Lasarte (スペイン)

ラサルテは、スペインのバスク自治州にある町で、ローカルには競馬場があることでも知られているそうです。隣接する主要都市は、サン・セバスチャン(San Sebastian)で、実質、そのベッドタウンとしての役割が大きな町のようです。

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鉄道は狭軌1メートルゲージながら、なかなか近代的な、バスク鉄道があり、ここが行き止まりの終点です。サン・セバスチャンの中心駅、アマラ(Amara)までは、4駅です。アマラからビルバオ方面へ向かう線の、エレカルデ(Errekalde)という駅から分岐して、1駅だけ盲腸線のようになっています。しかし、ビルバオ方面が平日日中は1時間に1本なのに対して、ここラサルテは1時間に2本と、こちらの方が倍の本数があります。

(撮影:2013年10月)

昨年も当ブログを見に来ていただき有難うございました。本年もゆっくりのペースで追加していきます。また、1月1日から、3つ目の鉄道写真ブログとして、世界のトラム を開始しました。こちらも是非見にいらして下さい。

ニュー・ブライトン New Brighton (イギリス)

ニュー・ブライトンは、ロンドンの南にある英国きっての海浜リゾート都市ブライトン(Brighton)とは遠く離れた、リヴァプール(Liverpool)の近くにあります。文字通りで、ブライトンを意識して、第二のブライトンを狙ったと思われるネーミングの、後発の海浜リゾートです。リゾートとしては本家と比較にならないぐらい寂れていますが、このエリアでは人気のある閑静な海辺の住宅地らしく、ここにセカンド・ハウスを持つ人もそれなりにいるそうです。

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鉄道の駅は、行き止まりの終着駅です。利便性は良く、リヴァプール中心部への直通電車が割と頻繁に出ています。観光の足というよりは、地元住民の生活路線として機能しており、特に大都市リヴァプールへの通勤通学や買い物の足として十分機能している感じはしました。電車は第三軌条式の3輌編成で、リヴァプール市街の地下区間に乗り入れます。

(撮影:2013年12月)

オーシュ Auch (フランス)

オーシュは、トゥールーズ(Toulouse)から西へ、単線のローカル線で88キロ1時間半ほど。平凡で特徴の薄い農村地帯を淡々と走って着く、終着駅です。オーシュの街は、一応、地域の中心性もあり、人口も2万ちょっとあります。駅付近からも見える丘の上には、有名なルネサンス様式のローマン・カトリック大聖堂があり、観光地としても知られているようですが、街そのものは渋く日常的なローカル・タウンの趣が濃い所でした。

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駅は街の中心から少しだけ離れている静かな所にあります。そこそこ大きな駅舎と駅前広場があり、駅員もいて、切符売場も自動券売機もありました。列車の発着時刻には人もパラパラ来て、一応まだ利用されているローカル線という感じはありました。

(撮影:2014年5月)